年末に友人と二人で、川崎にある墓地を訪れた。共通の友人であった故人の墓参りには、命日ではなく年末に訪れるのが恒例になっていた。墓参りを終え、広い墓地を歩いていると、十代で亡くなった人物の墓を見つけた。ふと「親子が燃えている、という通報があった」と、無理心中を伝えるニュースを思い出した。その事件の人物を切迫した行動に突き動かしたものと、私が年末に墓参りをする理由は似ているように思えた。墓地には、掃除がし易すそうな造りの、まだ名前が彫られていない墓石がいくつか建てられていた。