以前、私は新中野にある心療内科に通院していた。診療所の受付の女性は私の調子がどうであれ、いつも変わらない穏やかな表情で優しく接してくれていた。ある日の通院後、私は保険証が手元に無いことに気付いた。診療所で受取りそびれたのだと思いあわてて電話をかけるといつもの女性が電話に出た。保険証を忘れていないか確認をすると、女性は申し訳無さそうに、会計時に返却しそびれたので速達で送るという。後日診療所から届いた封筒の中には、保険証と電話代と書かれた紙に500円玉が包まれていた。